桜廻る




「好きです……私も」





そう言った途端、土方は雅の頭に、またぽん……と、優しく手を置いた。





「……そうか」


「で、でも、恋仲になるのは……」


「ん?」





少し息を吸って、雅は言葉を繋いだ。





「……私が山を乗り越えるまで、待っててほしいです」





雅がそう言うと、土方は頷きながら、分かったと言った。





「お前は強くなったな、雅」


「え?」


「初めて会った時は、すごく怯えていて……。だが今は、こんなに笑うようになった」





土方はそう言いながら、雅の背中をとんとんと叩く。


そして、いきなり体を離し、まだ真っ赤な顔の雅を見つめる。





「あとは、お前が言う、その“山”を乗り越えるだけだな」





そう言って、土方は優しく笑った。





< 141 / 419 >

この作品をシェア

pagetop