桜廻る
杏奈の口元は怪しげに笑っていた。
八対一……。
数では負けても気持ちは負けない──。
雅は、そんな思いで口を開いた。
「上本さん、私、あなたに話があってここまで来たの。いつもみたいにはさせない」
「……はっ?何を言ってるの?誰がお前の話なんか聞くかよ」
だんだん、杏奈の声が低くなっていく。
「もう……こういうのは、やめて」
「はーい、全然聞こえませーん!」
杏奈が、雅の腕を掴む。
拘束され、動けなくなった。
それでも何とか口を開く。
「だから、もうやめて!」
ピタリと杏奈の動きが止まる。
「……何それ?被害妄想?バカじゃないの?」
杏奈が睨んでくるから、雅も睨み返す。