桜廻る

五、二つの選択肢





そのまま、家に入り、いつものように荷物を部屋に置く。


それから、母の写真を見て、ただいまと言って。


軽く髪の毛を整え、リビングへ向かおうとした時だった。








チリン……


チリン………







(また、猫?)





しかし、やけにその音がいつもよりも大きく聞こえる。


一旦引き返し、猫を探した。


そして……


部屋の窓を開けると、そこにはやはり、一匹の白猫。





「ねぇ、時空移動の方法知ってるの?」





雅がそう聞いた途端、猫の目が、少し揺れた。


その途端──。


雅は、意識を手放した。




< 170 / 419 >

この作品をシェア

pagetop