桜廻る
五、二つの選択肢
そのまま、家に入り、いつものように荷物を部屋に置く。
それから、母の写真を見て、ただいまと言って。
軽く髪の毛を整え、リビングへ向かおうとした時だった。
チリン……
チリン………
(また、猫?)
しかし、やけにその音がいつもよりも大きく聞こえる。
一旦引き返し、猫を探した。
そして……
部屋の窓を開けると、そこにはやはり、一匹の白猫。
「ねぇ、時空移動の方法知ってるの?」
雅がそう聞いた途端、猫の目が、少し揺れた。
その途端──。
雅は、意識を手放した。