桜廻る
「そんな……」
(記憶が消えるのは……嫌だ)
雅は、ぐっと手を握りしめる。
しかし、その手はすぐに緩んだ。
次に発した時猫の言葉は、思いもよらない物だったからだ。
「あなたに、選択肢を与えます」
「え……っ?」
時猫は、雅の目をしっかりと見つめ……。
その選択肢を、告げた。
「土方さんを元の時代に戻し、記憶を消すか。それとも、このままこの時代の人という事にして、二人で幸せな毎日を送るか。どちらかを、選んでもらいます」
「わ、私が……?」
突然の事に戸惑う雅。