桜廻る
土方は、ソファーに座って、なかなか落ち着かない様子だった。
そわそわしながら、テレビや、カチカチなる時計などがある部屋の中を、きょろきょろと見回している。
「土方さん、あの」
「あ?……あぁ」
「ご飯、今から作ってくるので、ちょっと待ってて下さい」
「あぁ……。本当に、悪いな」
いえ、と雅は答え、台所へと向かう。
いつものように、
何種類かの食材を取り出して、料理を始めた。
土方は何者だろう。
そんな事を、考えながら。
トントンと包丁を動かしながら、口を開く。
「土方さんは、どこに住んでるんですか?」
「武蔵国多摩郡石田村だ」
「武蔵国……ですか」
納得したように答えるけど、どこなのかはさっぱり分からない。