桜廻る
弁当を食べ終わり、二人はまた歩き出した。
……日が、傾いてきた。
突然雅のケータイが鳴る。
「もしもし、お父さん?」
『あぁ。そろそろ、そっちに行くから』
「うん。分かった」
雅はピッとボタンを押して、ケータイをカバンに入れる。
「──土方さん」
「ん?」
「帰ったら、少し話があるので聞いてくれませんか?」
いつもよりも真剣な雅の表情に、土方は戸惑った。
……何かが起こる気がしたのだ。
しかし、聞かなくてはならないような気もする。
「分かった」
時間が経つのは早かった。
すぐに父が来て、家に到着し……。
……しかし、雅の気持ちは既に固まっていた。
遊園地に来る前から──。