桜廻る
「話とは何だ」
風呂から上がった土方は、窓際に立っている雅の側に近寄り、そう聞く。
雅は深呼吸をし……話し始めた。
「土方さんに、会えて良かったです。私、土方さんがいなければ、今頃いないんですから……」
「……何を言うつもりだ」
土方は鋭いから、雅の目が少し揺れたのを、見逃さなかった。
「土方さん、ありがとうございました」
「……っ!」
「それから、すみません。私、土方さんに何もできていない……」
今にも泣きそうな雅の声。