桜廻る

六、逢いたくて……





──それから、数ヶ月が経ち……。




「それでは、誰か一人に、好きな歴史上の人物を発表してもらいます。では……桜川雅さん!」




日本史の授業。


雅は一人、焦っていた。





(好きな歴史上人物……⁉)






「がんばれー、桜川」





小さな声が聞こえてくる。


ちらりと後ろを見やると、永瀬が笑いながらこっちを見ていた。


しかしその時……。


ふっと、一人の人物名が雅の頭に思い浮かぶ。





「ひ……土方歳三さんです」





どうしてかは分からない。


雅も疑問だった。





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