桜廻る
「……っ!」
ガバッと、雅は飛び起きる。
そして、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちた。
……思い出した。
「土方さん……っ!」
“死ぬな、生きろ”
雅の叫び声が、部屋の中にこだまする。
「会わせて……。お願い……!」
そう雅が言った途端、桜の花弁が一枚落ちてきた。
「え……」
『貴女は、幸せに……』
「誰……?」
『大丈夫。次の山も、貴女なら越えられる』
──女の人の声が聞こえ……次の瞬間、桜の花弁が、雅を包み込んだ。