桜廻る
第三幕
一、君の元へ
──ドンッ
「……っ!」
尻餅をつき、雅は驚いて辺りを見回す。
ここは和室らしい。
しかし……。
何かが違う。
空気も、雰囲気も、何もかも。
直感的に、雅は思った。
──今度は私が、タイムスリップしたんだ。
「あなた、誰ですか」
不意に後ろから声をかけられ、雅は驚いて振り返った。
そこには、布団から少し顔を覗かせ……怪訝そうな表情をした男がいたのだ。
「あ、あの……?」
「答えられないんですか?敵ならば、女でも容赦はしませんよ」
男はそう言うと、ガバッと布団から飛び起き……。
側に置いてあった刀を手にした。
そしてそれを抜き放つと、雅を押し倒して首に当てる。