桜廻る
「……どうしてそう言い切れるんですか」
雅は唇をかんだ。
きつく、強く。
「私は、楽になりたかっただけです。それなのに土方さんは私を助けた。もっと私を嫌な目に合わせたいんですか」
雅は別に、感謝などしていなかった。
いきなり助けられて、変な薬を渡されて、しかも居候させろと、そんな男に。
「私の、邪魔をしたいんですか?」
出るのはそんな言葉だけだ。
“ありがとう”なんていう気持ちは、はっきり言ってこれっぽっちもない。
あの時死ねたら、楽になれたのに。
また、明日から学校だ。
「それなら…」
雅のそんな言葉を聞き、土方は何かを決意したように、口を開く。