桜廻る



「……どうしてそう言い切れるんですか」





雅は唇をかんだ。


きつく、強く。





「私は、楽になりたかっただけです。それなのに土方さんは私を助けた。もっと私を嫌な目に合わせたいんですか」





雅は別に、感謝などしていなかった。


いきなり助けられて、変な薬を渡されて、しかも居候させろと、そんな男に。





「私の、邪魔をしたいんですか?」





出るのはそんな言葉だけだ。


“ありがとう”なんていう気持ちは、はっきり言ってこれっぽっちもない。


あの時死ねたら、楽になれたのに。


また、明日から学校だ。





「それなら…」





雅のそんな言葉を聞き、土方は何かを決意したように、口を開く。



< 20 / 419 >

この作品をシェア

pagetop