桜廻る


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「山崎さん!」




手当り次第に扉を開けていく。


そして……。


一枚の扉を開けた途端、目を瞑り、痛みを堪えるような表情のまま、横たわっている山崎の姿が視界に入ってきた。





「山崎さん……?」





そこに、ゆっくり雅は近付いていく。





「起きて下さい。早く……」





浮かれていた。


土方に会えた事の歓喜で。


まだ、雅は分からなかったのだ。


ここは常に、死が隣り合わせの時代である事。


平成とは、真逆の時代である事を。




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