桜廻る
雅は二人の会話を、障子の外から聞いていた。
すぐにカラッと開いて、土方が出てくる。
「聞いてたのか」
「……すみません」
雅が少し頭を下げると、土方は雅の手元にある物に視線を向けた。
「それは?」
「あ、疲れてるかなと思って、お茶を淹れてきたんですけど……」
「丁度いい。それ、総司にやってくれ。俺は今から近藤さんと話してくる」
「えっ?……あ、はい。分かりました」
土方と入れ違いに、今度は雅が中に入る。
沖田は雅がいる事に気付くと、曖昧な笑みを浮かべた。