桜廻る

三、別れの地へ





廊下をしばらく歩いていく。


土方は立ち止まり、口を開いた。





「ここでの戦は終わった」


「……えっ?」


「江戸は、敵の物になった」


「──っ!」





思わず息をのむ。


土方の格好は……上から下まで、土だらけ。


汗をかき、息を切らしている。





「またどこかに、移動すると思う」


「そう……ですか」





土方は少し息をつくと、背を向けて歩き出そうとした。




……しかし。




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