桜廻る
「ひ、土方さん!」
雅は土方の異変に気付き、思わず声をあげる。
「どうした」
「足……引きずってますよ」
雅はそう言いながら、土方の足を見ようとかがみ込んだ。
しかし。
「いい、大丈夫だ」
「でも……っ」
「大丈夫だ」
よく見たら、洋装の服が血でにじんでいる。
それでも土方は痛みを堪え、雅に背を向けた。
「どうして……。頼ってくれても、いいのに」
雅も唇を噛んで、自分の部屋に向かおうと歩き出す。
その時だった。
一つの部屋の縁側に、頭を抱えた近藤が座っているのを見つけたのは。