桜廻る




あっという間に水溜まりができ、草履が湿って足先も冷える。





「何でこんな時に……っ」





土方は怒りで拳を握った。


パシャパシャと水を踏みながら、歩みを進める。


その時だった。





「何者だ⁉」





雨の中、そんな声が響きわたる。


ぴたりと動きを止めてしゃがみ込み、息を潜めた。


水の音が近付いてくる。


飛沫がここまで飛んできそうだ。





「……」





近藤は、刀に手をかけた。


続いて土方も抜刀しようとする。




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