桜廻る
(え……)
雅が深く考えるより先に、土方は、側にあっただんだら模様で浅葱色の羽織を引き裂いた。
そして、近藤の腕を引っ張り、細長くなったそれをぎゅっと巻き付ける。
もう一つ細長く作り、それは自分の腕に巻き付けた。
「いなくなっても、俺が新選組を終わらせねぇ。かっちゃんは絶対戻ってくるんだから、その居場所をなくすわけにはいかねぇんだよ」
「歳……っ」
「自分は新選組の近藤勇ではない、甲陽鎮撫隊の大久保大和だと言い張るんだ。最後まで嘘を貫き通せ。……分かったか?」
近藤がうっすらと涙を浮かべる。