桜廻る
第四幕
一、会津へ
また、新政府軍に見付からないように歩いて行く。
「気晴らしに……海に、行くか」
土方の言葉に雅は目を見開いた。
「こんな時に、いいんですか」
「通り道なんだから、少しくらいいいだろ」
少し足を早める土方に雅は慌ててついて行く。
「まだ足も怪我してるのに……っ」
「そんなもの痛くねぇ」
でも、とまた言い返そうとしたが、思いとどまった。
すぐ笑顔になって、土方を見上げる。