桜廻る
冬を超えた。
桜の花が咲き誇り……。
花弁が舞い落ちて、新緑の季節に移った。
雅は土方を待ち続けた。
会える。
そう、信じて。
しかし──。
『箱館戦争が終わった。旧幕府軍が降伏した……』
そんな噂が、耳に入ってきたのだ。
雅の心臓が跳ねる。
戦は終わった。
時代は明治に移った。
でも、土方は生きているのか──。
全く分からなかった。
しかし……ある一人の人物が、雅の元を訪れる。
……斎藤だった。