桜廻る




雅は……その後、部屋にこもり、出なかった。


布団にくるまり、何度も何度も涙を流す。


櫛をぎゅっと握りしめた。





(八重さんが、あんなに後悔しないようにって言ってたのに……)





あの時、意地でもついて行くと言い張れば。


あの時、躊躇わずに追いかければ……。


後悔ばかりが、雅の心を支配していた。


……頭が、ついていかない。


さっき、斎藤に伝えられたばかりなのに。


会えないのに、もう二度と会えない。


雅は涙を流し……そのまま、眠りについた。




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