桜廻る
雅を見て、少し眉を寄せる。
そして……
「昨日、あんなに言ったじゃないですか!新選組が会津から出たと聞きました。どうしてついて行かなかったんですか⁉諦めないでと、あんなに言ったのに!」
「……」
「今からでも間に合います!追い掛けて、ちゃんと守るべき物を守らないといけないでしょう⁉」
(もしかして……)
雅は、うっすらと出ていた涙を手で拭う。
「分かりました。……行っても、いいですか?」
雅の口からは、しっかりとその言葉が出た。
──雅はまたタイムスリップをしたのだ。
数ヶ月前の、会津に。
土方から別れを告げられた、次の日に。