桜廻る
市村は足音を立てないように、走っていた。
結構な距離を走っただろう。
今のところ、怪しい雰囲気はない。
しかし油断してはいけない。
もう少し、遠くの方まで行ってみた。
すると……
どこからか、ドサッと音が聞こえてきたのだ。
思わず腰にある刀に手をかける。
しかし、何かがおかしい。
市村はそのまま、進んでいった。
「お……女……?」
そこに倒れている、一人の女。
……雅だった。
きょろきょろと辺りを見回す。
市村は雅をおぶさると、土方の元へ向かった。