桜廻る




市村は足音を立てないように、走っていた。


結構な距離を走っただろう。


今のところ、怪しい雰囲気はない。


しかし油断してはいけない。


もう少し、遠くの方まで行ってみた。


すると……


どこからか、ドサッと音が聞こえてきたのだ。


思わず腰にある刀に手をかける。


しかし、何かがおかしい。


市村はそのまま、進んでいった。





「お……女……?」





そこに倒れている、一人の女。


……雅だった。


きょろきょろと辺りを見回す。


市村は雅をおぶさると、土方の元へ向かった。




< 318 / 419 >

この作品をシェア

pagetop