桜廻る



仕方ねぇ奴だとでも言うように、土方は頭をかいた。


しかし、雅の目には途端に涙が溢れる。





「あ……。ひ、土方さん……」





(やっと、会えた……)





雅は、土方の手を掴んだ。


もう離れないように、と。





「勝手に、ここまで来やがって……」





短くため息をつくと、土方は雅を抱きしめた。





「分かった。……分かったから。もう、離さねぇから」





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