桜廻る


──
───
────



「頼みがある。──市村」





その夜、土方は市村を部屋に呼び出していた。


市村は何かを覚悟した面持ちで、膝まずく。





「……はい」





きっと、これからの戦の事で何かを言われる。


戦で気を抜くな。


死ぬ気で戦え。


そんな事を言われると思っていたが……。




“頼みがある”




その言葉に、市村は少し不安を覚えた。




< 342 / 419 >

この作品をシェア

pagetop