桜廻る




呆然とする市村をよそに、土方は何かを取り出す。


そして、市村に手渡した。


数日前に撮った、自分の写真。


細長い紙に、丁寧な字で書かれた句。





「よしや身は、蝦夷が島辺に朽ちぬとも……魂は東の、君や守らむ……」





市村はその一文を読み、唇をかんだ。


そしてもう一つ、紙に包まれているそれ。








──遺髪。









「死ぬつもり……ですか、副長」



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