桜廻る




一瞬怖気ずくが、構わずに言葉を繋げる。





「最後まで戦うと決めたので。この命令は……」


「市村」





低い土方の声に、市村は顔を上げる。


今までにないくらい怖い表情だった。


カチャ、と刀を出して、市村の首に当てる。


最近、土方の態度は少し今までと違った。


少し、柔らかくなっていた。


皆に笑いかけ、“酔うのは駄目だから一杯だけだぞ”と言いながら、酒を振る舞ったり。


一人一人に気を配って、積極的に声をかけたり。




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