桜廻る





土方は、一人の男に担がれていた。


顔も服も、土だらけで。


目を瞑って。






……黒い服を、赤い物で湿らせて。






それは、敵の返り血ではない。


土方の腹部から、次々と溢れ出ている鮮血。


それは明らかに、土方の物だった。





「──土方さん!」





雅は男をかきわけ、土方の所へ駆け寄った。


頭の中が真っ白になる。


それでも、助けたい一心で……雅は走り出し、あるだけの着物を持ってきた。




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