桜廻る




その着物を、強く強く、土方の体に押し付ける。


すぐに赤くなる。


早く……致死量を超える前に。


止まらない血。


めげずに着物を押し付け、圧迫を続ける雅。





(やっぱり……歴史は……)





変えられないのだろうか。


何があっても。


悔しくて、涙が出てくる。


しかし、今は泣いている場合ではない。


着物を取り替え、新しい物を押し付けた。


雅は……唇を引き結んだ。


土方の呼吸は荒い。


それはまだ生きている証拠。


……雅は諦めなかった。




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