桜廻る
四、山を越えれば
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それから、雅は土方の看病を続けた。
一命は取り留めたものの、気は失ったままなのだ。
何日も何日も、この状態が続き……
「う……」
「土方さん……?」
土方の手を握っていた雅は、ハッとして声を上げた。
ゆっくりと、瞼が持ち上げられる。
土方はぼやけた視界のなか、目だけを動かし、ようやく視界に雅が入った。
「雅……」
また、その声が聞けた。
雅は思わず、土方の体に抱きつく。