桜廻る
「良かった……良かった……っ」
そんな雅を見て、土方はまた、穏やかに笑った。
「ありがとうな、雅……」
そして、ぽんぽんと、その背中を優しく叩く。
涙で土方の服が濡れていく。
そんな雅を、土方はずっと撫で続けた。
そして……
「……今、何日だ?」
落ち着いた声で、土方はそう聞いてきた。
雅も、涙を引っ込め、ゆっくりと息をつき……
「──五月二十日ですよ」
そう、告げた。
すると、土方はまた穏やかな笑みを浮かべる。