桜廻る




「この日本が、どう移り変わっていくのか、その目でしっかりと見なさい」


「榎本さん……」


「分かったね?」





そう言った榎本の表情は、いつもよりも穏やかだった。


土方は、小さく頷く。





「……よし。じゃあ雅さん、土方を頼むよ」


「はい」





そう言うと、榎本は部屋から出て行った。


二人だけになった室内に、静寂が漂った──。




< 377 / 419 >

この作品をシェア

pagetop