桜廻る
そして……しばらく経ち、ようやくその腕を解いた。
「雅……」
母は雅の顔を両手で包み込む。
「あんなに小さかったのに、こんなに大きくなって……。お母さん、嬉しい」
そう言って、にこりと笑った。
雅はそんな母の顔を見つめる。
「昔の雅はね、ほんとに泣き虫で。それが今は、こんなに強くなって」
母はまた優しく頭をなでた。
「お母さん……」
「ん?」
「ごめんなさい、お母さん」
「ふふ、何よ急に」