桜廻る
不思議そうに笑う母に、雅は口を開いた。
「私、死のうとしたの……知ってるよね?」
「……。そうねぇ」
「お母さんに、親孝行したかったけど……」
「……」
母は、少しの間黙り込んだ。
しかし、またすぐににこりと笑って、雅の頭をなでる。
「もー、ダメよ?過去は過去、今は今なんだから。いいの、今はもう」
「……」
「それに……謝るのは、お母さんの方だもの」
「え……?何で?」
今度は雅が不思議そうな顔をする。
「ごめんね、本当は私が……雅の側にいられれば良かったのに。いじめに合って、死にたいくらい辛い思いをしてる雅を、空から見る事しかできなくて……」
「……」
「乗り越えて欲しかったの、雅には。そしてね、幸せになってほしくて……」
「……っ」