桜廻る
「そんなお母さんの我がままで……土方さんなら、私の代わりに貴女を大切にしてくれると思って。二人とも、何度もタイムスリップさせちゃったの……いっぱい、振り回して……」
ごめんねと、曖昧な表情を浮かべながら、母はそう言った。
雅はううんと、首を振った。
「お母さんは悪くないよ。私、土方さんと出会えて良かったって思ってる」
そう言って、笑った。
そんな雅を見て、母もにこりと笑う。
「そう……ありがとうね、雅」
「……うん」
真っ白な空間。
少しの間、静寂が漂う。