桜廻る
──現代にて。
これは、俺が雅のお父上様と初めて会った日の話だ。
お父上様は、俺の事をやはりあまり信用してはいなかった。
しかし俺は、どうして武士になりたいか……そういうことを、雅が風呂に入っている間に、お父上様と話した。
それから、俺も風呂から上がった途端。
「土方さん!これからも、よろしくお願いします!」
「……?」
「お父さんが許してくれたんですよ!」
雅のその嬉々としたその言葉は、一瞬空耳かと思った。
「い……いいんですか?お父上様」
「ただし!条件がある。ちょっとこっちに来なさい、土方くん」
お父上様は手招きをしてぐいっと俺を引き寄せると、俺の耳に手を当てた。