桜廻る
そんな様子に、クスリと笑う雅。
ちょっと可愛い…なんて思ったのは、雅だけの秘密だ。
それからも、何枚かプリクラを撮り、印刷が終わるのを待つ。
しばらくして出てきたその中の2人は、
(仏頂面……)
雅も土方も、初めてだったものだから表情が固かった。
「写真に色が付いている」「紙の中の自分が小さい」と、土方は感嘆の声を上げ、子供のように喜んでいた。
雅は何だか嬉しい気持ちだった。
一つ、土方との思い出が作れたのだ。
大切に、そのプリクラを財布に入れる。
自然と体が触れた時に、ドキドキと早まった鼓動。
「そろそろ、帰りましょうか」
「あぁ。そうだな」
土方に笑顔を向け、2人は歩き出した。