桜廻る

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家に帰ると、土方はさっそく、竹を家の中に飾っていた。





「──俺は武士になりたい」


「…えっ?」





唐突な申し出に、雅は目を丸くした。



“武士”




平成では有り得ないが、土方の時代には、当たり前にいた存在。


男がそれに興味を持つのは、無理もない。





「……今は百姓だが、絶対に武士になる」





竹を見つめながら、土方はそう語った。




──その時、雅は理解した。



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