桜廻る

七、突然の電話



──
───
────


ジューッと、鮭をフライパンに乗せて焼いていく。



だんだん、美味しそうな匂いが、部屋の中に充満していった。



鮭をひっくり返す雅の隣で、一生懸命、味噌汁を作っている土方。



使い方はもう大分覚えたみたいだ。



豆腐とわかめが浮かんでいく。





「美味しそう……」





思わず、そんな言葉が雅の口から漏れた。


盛り付けた鮭の隣には、黄色いたくあん。


そして、湯気が立った味噌汁に、炊きたてほかほかのご飯。


まさに、江戸時代でも食べられていたような料理が、食卓に並んだ。



< 76 / 419 >

この作品をシェア

pagetop