桜廻る




そんな気持ちを隠すように、食べ続けていた時だった。





──プルルル、プルルル……





突如、家の電話が鳴り出したのだ。





「誰だろう……」





首を傾げながら、雅は席を立って、受話器を掴んだ。





「…もしもし」


『もしもし。……雅か?』






思わず、受話器を床に落としそうになった。

その相手は、紛れもなく……





「お……お父さん……⁉」


『どうだ、学校は。久し振りだな』


「ど、どうしたの?急に」





声の主は、雅の父親だった。


仕事が忙しい事もあり、電話なんて、なかなかかかって来ないのだ。



< 78 / 419 >

この作品をシェア

pagetop