桜廻る
「……土方さん、誰も、出て行けなんて言ってません。それに、私は全然迷惑に思っていません。土方さんが元の時代に戻れる方法、私も一緒に考えます」
思い付いた言葉を、一つ一つ、並べていく。
「土方さんの居場所は、この時代にもちゃんとあります。だ、だから……」
続きの言葉が見付からなくて、目線を下に向ける。
どう伝えればいいか、分からなかった。
“ここにいてほしい”
これが、雅の本心であった。
「……雅」
ハッとして顔を上げると、優しい土方の表情がそこにあった。
「ありがとな」
そして土方は、ぽん、と雅の頭に軽く手を乗せる。
かぁっと赤くなってしまった顔を隠すように、雅はまた下を向いた。