桜廻る
思わず目を見開く。
「え……⁉」
「だから、ちゃんと走りなさいよ」
何も言い返せない。
杏奈はそのまま、女子達の輪に戻っていく。
そこから向けられた視線は、いいものとは言えなかった。
中にはクスクスと笑っている人までいる。
軍対抗戦……。
雅は、青軍だ。
つまり、その軍の代表の一人に、雅は選ばれてしまったという事だ。
「桜川、俺もリレーだから」
「……え?」
不意に聞こえた声に振り返ると、そこには永瀬がいた。
蒼いバトンを持って、腕を組んでいる。
はっきり言って……雅は、永瀬の事が苦手だ。
そんな雅に、永瀬は近付いてくる。
思わず体を縮ませる雅。