桜廻る
……しかし。
「最後まで、走れよ」
その言葉と同時に、永瀬の口元が緩んで見えた。
……まるで、雅を励ましているかのように。
それを聞いた途端、雅の口から、慌てたように言葉が出てきた。
「わ、私……。足遅いけど、ちゃんとバトン繋げられるように……。諦めないで、走り切るから……」
自信なさげに、だんだん小さくなるその声。
しかし、永瀬はそれでいいというように、深く頷く。
でもそれは、走る事に対してではなく……。
「そうやって、自分の思ってる事を言え」