桜廻る



──その日の放課後。



「ほら、桜川ちゃんと走れ!」


「は……はいっ!」





雅は永瀬と校庭に行き、リレーの練習をしていた。


陸上部の永瀬は、やっぱり足が速い。


雅は華道部だが……実はあまり、参加していないのだ。


早く帰りたい、というのもあるだろう。





「バトンは落とさないように、しっかり握るんだ。分かったか?」


「はい!」





走る距離は100mだ。


たくさん走って、肩を上下に揺らし、すっかり息を切らしている雅。


それとは真逆で、まだまだ走れそうな永瀬。





「少し休憩するか……」





校庭の隅、木陰がある所まで、歩いて行く。


汗を手で拭いながら、雅もその後ろをついて行った。



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