桜廻る


ガラガラ……。


外に二、三台並んでいる自動販売機のうちの一台から、そんな音がする。


永瀬は喉が乾いたのか、お茶を買っていた。


しかし。





「ほら」





ぱっと後ろを振り向き、それを雅に差し出す。


どういう事か理解出来なくて、頭には疑問符が大量に浮かんだ。





「やるよ」


「……え⁉」


「いいから飲め。熱中症で倒れたりしたらこっちが困るんだ」





おずおずと、お茶に手を伸ばす。


ペットボトルはひんやりと冷たかった。


またガラガラと音がし、二本目のお茶を永瀬は買う。



< 93 / 419 >

この作品をシェア

pagetop