桜廻る
ガラガラ……。
外に二、三台並んでいる自動販売機のうちの一台から、そんな音がする。
永瀬は喉が乾いたのか、お茶を買っていた。
しかし。
「ほら」
ぱっと後ろを振り向き、それを雅に差し出す。
どういう事か理解出来なくて、頭には疑問符が大量に浮かんだ。
「やるよ」
「……え⁉」
「いいから飲め。熱中症で倒れたりしたらこっちが困るんだ」
おずおずと、お茶に手を伸ばす。
ペットボトルはひんやりと冷たかった。
またガラガラと音がし、二本目のお茶を永瀬は買う。