桜廻る
フタを回して、お茶を口に含む。
冷たくて、乾いていた喉がすっきりした。
永瀬も壁に寄りかかって、お茶を飲んだ。
「あー。うまい」
そう言いながら、ごくごくとすごいスピードで飲んでいく。
「あの、ありがとう、永瀬君」
「ん?……あぁ」
弱い風が吹いて、雅の長い髪が少し揺れた。
もう、日も傾いている。
校舎の向こうには夕焼けがかかっていた。
「どうする?そろそろ帰るか?」
「あ、うん……」
まともに話す事が出来ず、雅は申し訳ないと思っていた。
永瀬は立ち上がると、またスタスタと歩き出す。