桜廻る
「はい。あと、障害物競争っていうのにも出ます」
みるみるうちに、土方の眉間にしわが寄っていった。
少し気まずい空気になってしまい、雅はあわあわしながら再度口を開く。
「あの、言葉で説明するのは、難しいので、その……」
「──見に行っていいか?その、体育祭とやらに」
言おうとしていた事を、そのまま土方に言われ、雅は驚いて口を閉じる。
でも、まさか土方の方から「行きたい」と言ってくれて、雅は素直に嬉しかった。
「はい……!じゃ、じゃあ、お弁当とか、色々作らないといけませんね!」
「あぁ、そうだな」
嬉々として、雅はそのまま自分の部屋へ駆け込んだ。
(リレーも障害物も、頑張って走らないと!)
やる気がさらに増して、明日も永瀬に練習に付き合ってもらおうと、雅は強く心に決めた。