王に愛された女
何に驚いたのか、ガブリエルは立ち上がり、そのまま後ろへ三、四歩後ずさった。
「待ちなさいよ」
アリシアは、少し大きな声でそう告げた。
ガブリエルは俯いていた顔をそっと持ち上げてアリシアを見る。
「……王様に言われたの。あなたを選んだこと。すごく悔しいけど、王様の判断だから仕方ないし…」
アリシアは、高飛車な態度を取るつもりであったが、ガブリエルが自分にライバル意識を持っていないことに気づき、その態度を取ることを恥らった。
「…だから、認めてあげる」
ただ、認めたところだけは先に後宮に来た先輩としての威厳を見せるべく、恥を捨てて高飛車な態度をとる。
「…アンタが王室に入ること、認めてあげるわ」