王に愛された女
「それはそうと王様、ご存じですか?」
オラシオンは再びルークの顔を見た。
ルークは白銀の髪を短く切りそろえているが、前髪だけは長くて両目が隠されている。変えの表情を読み取るには、口元をよく観察する必要があった。
「何をだ」
オラシオンはクイーンを動かした。
「ガトヤにある無数の村の中にはまだ貧乏な村もあるそうですよ。王国自体は安定しつつありますが、ガトヤの村を細かく見てみると貧乏な村も多いようです」
ルークがキングを動かした。
「俺にどうしろと?」
「察してください。ガトヤの村々を視察なさってはいかがですか?」
「断る」
オラシオンはビショップをやや乱暴に動かした。
「断る云々の問題じゃありませんよ。そうですね…この勝負に俺が勝ったら視察に行ってください」