王に愛された女




『そんなのエゴじゃないのか…?』

「他のヤツが見たらエゴかもしれないけど…。アイツは、俺にとっては唯一の肉親だから。俺だけ置いていかれるなんてまっぴらごめんだ」

 炎が高らかに笑った。

『いいだろう。オマエの覚悟、確かに聞いたぞ。気に入った!この俺と勝負しろ』

 フィオーレは驚いた。

「勝負?」

『そうだ。もしもだ、もしも仮にオマエが俺に勝てたならこの剣はオマエのものだ』

 フィオーレは剣の柄をグッと握りしめた。

 ……

 ………

 …………

◇◆◇◆

 フィオーレは剣を見た。

「…ガブリエル…」

< 138 / 267 >

この作品をシェア

pagetop