王に愛された女






 洞窟を出て、川の水面へと浮上したフィオーレは懐かしく感じられる地上の香りにホッとした。

 着ている服がぐっしょり濡れているため、フィオーレは服を脱ぐと先ほど手に入れたばかりの剣を出した。

――神の力を使うときは、“神の炎(ゴッド オブ ファイヤー)”と唱えればいい。

 フィオーレは炎の言葉を思い出して

「神の炎(ゴット オブ ファイヤー)」

 そう唱えてみた。

 途端、剣の赤い石から出た炎が草に燃え移った。

「うわっ」

――止める時は、鎮まりたまえと言えば消える…筈だ。

 フィオーレは濡れている服を遠くに放ると

「鎮まりたまえ!」

 そう叫んだ。

 炎が消える。

 燃えている炎の上で濡れている服を絞ると、あっさり火は消えた。

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